この統計表で何が分かるか
厚生労働省が公表している「社会保障費用統計」は、社会保障制度に基づいて給付された費用を体系的に集計した統計です。今回取り上げる時系列表第8表〜第11表は、1950年度から1963年度までの社会保障給付費について、部門別(医療・年金・福祉その他といった区分)の推移を、金額・構成割合・対国内総生産比・対国民所得比・対前年度増減率という複数の表章項目で示したものです。社会保障給付費の全体像が、制度の初期段階からどのように積み上がってきたかを確認できる資料といえます。
数値データを表で見る
| 時点 | 値(%) |
|---|---|
| 1950年度 | 100 |
| 1951年度 | 100 |
| 1952年度 | 100 |
| 1953年度 | 100 |
| 1954年度 | 100 |
| 1955年度 | 100 |
| 1956年度 | 100 |
| 1957年度 | 100 |
| 1958年度 | 100 |
| 1959年度 | 100 |
| 1960年度 | 100 |
| 1961年度 | 100 |
| 1962年度 | 100 |
| 1963年度 | 100 |
数値データの読み取り
抽出した条件は「部門: 合計」「表章項目: 構成割合」です。この条件では、1950年度から1963年度までの14年度にわたって、いずれの年度も構成割合が100.0%と示されています。これは、部門別の内訳を合計した値が全体(合計)そのものであることを意味しており、部門合計の構成割合が100%になるのは定義上当然の結果です。したがって、この数値そのものからは各部門(医療・年金・福祉その他など)の比率の変化は読み取れません。部門別の構成割合の推移を見たい場合は、「部門: 合計」ではなく、医療や年金といった個別部門を指定して同じ表章項目を確認する必要があります。
どんな調べ物に使えるか
この統計表は、社会保障制度の発足初期にあたる1950年代から1960年代前半における給付規模の推移を調べる際の基礎資料になります。具体的には次のような使い方が考えられます。
- 社会保障給付費の総額や部門別内訳が、制度創設期にどう変化したかを時系列で追う研究
- 対国内総生産比や対国民所得比を使い、当時の経済規模に対する社会保障給付の相対的な大きさを把握する分析
- 対前年度増減率を使い、特定年度に給付費が急増・急減した時期を特定する作業
- 医療・年金・福祉その他といった部門別の金額や構成割合を個別に抽出し、どの部門が給付費全体を牽引してきたかを検証する研究
ビジネス実務では、社会保障制度の長期的な発展経緯を説明する資料の裏付けデータとして引用されることが想定されます。研究目的では、戦後日本の社会保障制度の形成過程を定量的に裏づける一次資料として活用できます。
データの見方の注意点
利用にあたっては、いくつか注意すべき点があります。
- 今回抽出した数値は「部門: 合計」×「構成割合」の組み合わせであり、100.0%という値は部門内訳の合計が全体と一致することを示しているだけです。部門別の比率の変化を知りたい場合は、個別部門のデータを別途確認してください。
- 対象年度は1950年度から1963年度までであり、それ以降の年度の動向はこの表からは分かりません。近年の傾向と比較する場合は、別の時系列表を参照する必要があります。
- 表章項目には「金額」「構成割合」「対国内総生産比」「対国民所得比」「対前年度増減率」の5種類があり、それぞれ測っている内容が異なります。同じ社会保障給付費でも、金額の推移を見たいのか、経済規模との相対関係を見たいのかによって使うべき項目が変わるため、引用時にはどの表章項目の数値かを必ず明記してください。
- 調査時点は2024年04月、e-Stat上の最終更新日は2026-07-29となっていますが、これは統計表の公表・更新に関する情報であり、集計対象年度そのもの(1950〜1963年度)とは別の情報です。両者を混同しないよう注意してください。
- 制度創設期のデータであるため、当時の社会保障制度の範囲や定義が現在と異なっている可能性があります。長期の時系列比較を行う際は、制度改正や統計上の定義変更がないかも合わせて確認することが望まれます。
ご利用にあたって
掲載内容は各省庁が公表する統計データに基づくものであり、統計の解釈・分析は編集部独自の見解を含みます。正確な数値は公表元の統計データを直接ご確認ください。