この統計表で何が分かるか
厚生労働省が公表している「社会保障費用統計」は、医療・年金・福祉などにかかる社会保障の給付費を体系的に集計した統計です。今回取り上げる時系列表(第8表~第11表)は、社会保障給付費を部門別に、金額・構成割合・対国内総生産比・対国民所得比・対前年度増減率という複数の表章項目で1964年度から2024年度まで示しています。
ここでは「部門: 合計」「表章項目: 対国民所得比」の条件で抽出した2011年度から2024年度までの数値を扱います。対国民所得比とは、社会保障給付費の総額が国民所得に対してどのくらいの割合を占めているかを示す指標です。国内総生産(GDP)に対する比率とは別の指標なので、混同しないよう注意が必要です。
数値データを表で見る
| 時点 | 値(%) |
|---|---|
| 2011年度 | 30.4 |
| 2012年度 | 30.5 |
| 2013年度 | 29.7 |
| 2014年度 | 29.6 |
| 2015年度 | 29.5 |
| 2016年度 | 30 |
| 2017年度 | 29.8 |
| 2018年度 | 29.7 |
| 2019年度 | 30.8 |
| 2020年度 | 34.9 |
| 2021年度 | 34.4 |
| 2022年度 | 33 |
| 2023年度 | 30.7 |
| 2024年度 | 30.6 |
数値データの読み取り
対国民所得比は2011年度が30.45%で、2012年度は30.52%とわずかに上昇しています。その後2013年度から2015年度にかけては29%台まで下がり、2015年度は29.51%となっています。2016年度に29.96%へ上がった後、2017年度・2018年度は29%台で推移し、2019年度に30.76%へ上昇しています。
2020年度は34.88%と、この期間で最も高い値になっています。2021年度は34.42%、2022年度は32.97%と続けて低下し、2023年度は30.73%、2024年度は30.6%とさらに下がっています。2020年度前後で値が大きく上昇し、その後段階的に低下していく形が読み取れます。ただし、この上昇や低下の背景(国民所得側の変動と給付費側の変動のどちらがどの程度影響したか)は、この表章項目だけからは分かりません。
どんな調べ物に使えるか
この時系列表は、社会保障給付費の規模を長期的に把握したいときの基礎資料として使えます。特に対国民所得比は、給付費の絶対額(金額)だけでは分かりにくい「経済規模に対する社会保障の重さ」を年度ごとに比較できる指標です。
- 社会保障制度の負担感を経済規模との相対値で議論する際の根拠データとして使う
- 対国内総生産比や構成割合など他の表章項目と合わせて、給付費の規模と内訳の両面から分析する
- 部門別(医療・年金・福祉など)の内訳データと組み合わせて、どの部門が比率の変化に影響しているかを調べる
レポートや企画書に引用する場合は、必ず「対国民所得比」であることと、対象年度・部門(合計)を明記してください。同じ統計表には対国内総生産比など似た名前の指標もあるため、取り違えると数値の意味が変わってしまいます。
データの見方の注意点
この統計表の調査時点は2024年4月時点の公表分に対応し、e-Stat上の最終更新日は2026年7月29日です。時系列表そのものは1964年度から2024年度までの長期データを収録していますが、今回取り上げたのは2011年度から2024年度までの一部区間です。それ以前の年度の値については触れていません。
対国民所得比は、分母となる国民所得の算出方法や範囲が年度によって見直される場合があります。年度をまたいで比較する際は、比率の変化が給付費側の変動によるものか、国民所得側の変動によるものかを、他の表章項目(金額や対国内総生産比など)と併せて確認すると、より正確な解釈につながります。また、「部門: 合計」の値であるため、医療・年金・福祉といった内訳ごとの動きは別途、部門別のデータを確認する必要があります。
ご利用にあたって
掲載内容は各省庁が公表する統計データに基づくものであり、統計の解釈・分析は編集部独自の見解を含みます。正確な数値は公表元の統計データを直接ご確認ください。